不動産特定共同事業法施行規則改正に関するパブリックコメントの結果

 不動産特定共同事業法施行規則改正に関するパブリックコメントでは以下のとおり1名様よりご意見を頂きました。頂きましたご意見に対する建設省の考え方は次のとおりです。

 ◎藤木保彦様(オリックス株式会社 取締役社長室長)からのご意見

1.「2(1)対象不動産を売却した後、新たな不動産を取得するまでの期間」について

@「1年以内」という年限は妥当と考えるが、不動産取引の実態に鑑み一定の猶予を与えるべきである(EX.1年以内に売買契約を締結し、1年半以内に引渡しをする場合等)。

A2次取得物件価格が当初物件売却価格を下回った場合、その差額の扱いにも(1)の1年以内の規制が課されることになるのか?「(2)出資の総額の上限等」に記載されている3分の1以内の範囲にて、余剰金として取り扱うことを認めるべきである。

2.「2(3)不動産特定共同事業の業務に供されていない金銭の運用」について

現在、政府の金融サービス法制定へ向けての検討で示されている考え方(運用対象の制限を設けず、運用品目ではなく機能に着目した法整備)を踏まえれば、余剰金の運用制限を課すべきではない。

3.「2(4)E事業参加者の地位の円滑な譲渡」について

不動産の売却または取得の際に、「事業者の買い取りまたは転売」をすることは事業者が過大なリスクを負うことになり現実的ではない。よって、義務化すべきではない。義務化した場合には、商品組成を阻害し、不動産の入れ換えを前提とする商品は販売が実質的に不可能となる可能性が高い。

4.「2(4)G不動産特定共同事業契約の成立前の説明事項の充実」について

公表されている案の文書に「成立前及び成立時」と記載があるが、「成立時」を説明事項とすることは本法の規定に反しており、過剰な規制である。説明義務が課されているのは「成立前書面」についてのみである。

(上記ご意見に対する建設省の考え方)

1.@について

この規定は、事業参加者保護の観点等から、速やかに不動産取引から生ずる収益又は利益が事業参加者に配分される状態にすることを目的としているものであることから、最長でも1年以内に不動産取引を営める状態にする必要があると考えます。

1.Aについて

対象不動産の売却後に追加取得する不動産の価格が売却不動産の価格を下回った場合において、その差額の金銭は不動産特定共同事業に供されていない金銭として、不動産特定共同事業に供されている財産の3分の1の範囲内において運用できることとしています。

2.について

不動産取引を行うのに必要な額を超えて金銭の出資を可能にするのは、対象不動産を変更する際に柔軟に対応できるようにすることが目的であることから、その運用について一定の範囲を設け適切な運用を図ることが必要と考えます。

3.について

今回の不動産特定共同事業法施行規則の改正は、事業参加者の保護を図りつつ、不動産特定共同事業者による事業運営の自由度を高めようとするものです。不動産特定共同事業者の事業運営に同意しない事業参加者について、事業からの撤退を可能とすることは投資家保護上不可欠であり、不動産特定共同事業者による当該事業参加者の地位の買い取り、或いは不動産特定共同事業者をして第三者に買い取らせることは最低限必要なルールと考えています。なお、この規定では、対象不動産を売却又は取得する場合等、事業者が事業運営の変更を行う時点でのみ事業参加者の地位の買取り等を義務化しており、事業者に過大なリスクを負わせるものではないと考えています。

4.について

ご指摘のとおり、不動産特定共同事業契約の成立時には説明義務はありません。